【お客様の声】古郡建設株式会社の導入事例

エコドライブ研究所|お客様の声

「運転は業務じゃない」という意識が変わった。

ヒヤリハットが社員から上がってこなくなっている。

社員が「自分が排出しているCO2もそこに関わっているんだ」と肌で感じた。

 

建設業で進めるエコと安全:運転意識改革で実現する持続可能な企業運営

建設業界の老舗として、常に新しい挑戦を続ける古郡建設株式会社様。SDGsへのコミットメントを掲げ、SBTの認証を取得し、ブランディングにも積極的に取り組む同社が、全社を巻き込んだ「自動車運転研修」を実施されました。単なる座学にとどまらない、全社員の運転データ可視化と個別フィードバックを組み合わせた今回の研修が、どのようにして社員の意識と運転行動に大きな変化をもたらしたのか、今回は、その導入から研修終了までの道のりと得られた確かな成果について、研修をけん引した安全管理課の権田孝課長と高橋歩様にお話を伺いました。

※SBT(Science Based Targets):パリ協定が求める水準と整合した企業の温室効果ガス排出削減目標。古郡建設様はこの取り組みの国際認証を取得している

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研修導入前夜:根深かった「運転=個人」という意識の壁

まず尋ねたのは、研修導入前の課題についてでした。安全運転管理者でもある権田様は、当時の社内の状況をこう振り返ります。

「運転に関して、『みんな意識が薄かった』ですよね。運転は業務とは別の話、というような雰囲気がありました。実際は労働災害に直結するものなのに、その意識が薄かった。『運転は業務じゃない』、『スピードで捕まっても問題ない』と考えている人が多かったんです」

確かに、運送業のように運転そのものが本業ではない企業では、このような意識が一般的かもしれません。アルコールチェックなどの法定項目は実施しているものの、根本的な安全運転への意識が希薄だったと権田様は語ります。

「結局、根本的にある安全運転というところが、みんな考えていなかったんですよね。人によって差も全然ありました」

しかし、この課題に対し、今回の研修が大きな成果をもたらしたと言います。

 

経営陣を動かし、社内全体に波及した変化の兆し

「そんな中で、福田さんのエコドライブ・安全運転研修を知り、『これはやってみる価値がある』と感じたのがきっかけです」

権田様は、研修の成果について、言葉を選びながらも確かな手応えを口にされました。

「少し結論めいてしまいますが、それが成果として『数値化され、見える化された』というのが、一番良かった点です。研修の前後で大きく変わりました。何より、経営陣が『交通安全』という言葉を言うようになったことですね」

以前は「運転は個人が管理するものだから、会社があえて言わなくてもよい」という雰囲気が強かったという古郡建設様。経営陣から交通安全という言葉が出ることは、あまりなかったと言います。しかし今では、朝礼で「安全運転で」「エコドライブで」といった言葉が自然と社員の口から出るようになったと権田様は続けます。

「朝礼の時に、『安全運転で』とか『エコドライブで』とかっていう言葉を使って、気を付けていきましょう、みたいなことを言う社員がちらほら見られるんです。事故を起こさないで仕事しましょうというニュアンスを込めて話す人は増えましたし、高橋も言うように、『社員や経営者、会社全体がそういう雰囲気になった』のは本当に良かったと思いますし、安全への意識が会社の文化として根付き始めていることを実感しています」

高橋様も、「昔を思うと、確かにそうでしたね。全くそういうのが昔はなかったです。でも、安全っていう言葉が社内で浸透してきました」と話し、権田様も「交通安全もそうだし、労働安全衛生とか、そういう分野でも」と、その変化に驚きを隠しません。

 

個人への「見える化」が意識を変える起爆剤に

今回の交通安全研修が、その大きなアプローチの一つになったと権田様は言います。

「研修では、個人個人の結果が分かったじゃないですか。あれが、そこまで踏み込むことなく終わってたら、『意味ないよ』で終わってたと思うんです。でも、個人の成績として出てくるということに、一つ興味を持ってもらえたというか。目に見えて分かるから『こうしよう』というのを個人個人考えることができたのが良かったなと思います」

安全運転研修を通じて、個人の運転状況がデータとして「見える化」されたことが、社員一人ひとりの意識を変える大きなきっかけになったと言います。そして、この「運転の安全」への意識改革が、思わぬ波及効果を生み出していると権田様は語ります。

「運転の安全という部分を通じて、『全体の労働に対する意識』も醸成されてきているんじゃないでしょうか。トップが言うわけですから、社員は意識せざるを得ません。それに、CO2削減など会社の環境的な取り組みとも『合致してくる』ので、さらに意識が高まっているように感じます」

 

「統一された基準」がもたらす安心感

もし今回の研修を実施していなかったら、どのような課題が残っていたでしょうか。福田の問いに対し、権田様は明確に答えます。

「ずっと続いたでしょうね。『交通安全どうやったらいいのかな』と。だって、最初から個人に任せて、個人でやっていたわけですから。個人レベルだと、できることに限りがあります。『気を付けてね、安全運転だよ』と言っても『安全運転ってどのレベルなの?』というのは個人個人違うと思うんです。今回の研修で、『統一感』は出てきましたね」

安全運転に関する認識の「基準」ができたことは、大きな進歩だと権田様は強調します。

「研修で『こういう運転が一番予測もできるし、車に負担もかからない』という知識を得られたことで、みんながこれまで知らなかったことを学び、『ある一定のレベルが提示できた』と感じています」

高橋様も、「『交通事故をしないから俺はこれでいい』という認識の人もいる中で、そこを統一感出せるように皆さんの認識を合わせられたというのは大きいです」と、研修の成果を実感されています。

 

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新入社員向け研修の模索と、実践の重要性

古郡建設様では、これまでにも安全運転に関する取り組みが全くなかったわけではありません。全体で行う本格的な安全運転研修は今回が初めてでしたが、新入社員向けの取り組みは過去にも行われていたと言います。

「安全衛生協議会の中で警察OBの方の話を聞いたり、去年は新入社員を研修機関に行かせたりしました。危険な運転が多い高校卒業したばかりの若い社員のために探したものです」

しかし、それはあくまで限定的な取り組みだと権田様は明かします。

「そのときは、研修所を見つけて行かせたんですが、新入社員向けには通常、社内のベテラン社員がダブルキャブトラックを使って運転を教えるといったことも毎年やっているんです」

全社員を外部の施設で研修させるのは現実的ではなかったと言います。

「社員が全員行ったら大変なことになりますし、それに時間も取れないですよね。新人さん何人かぐらいだったらいいですけど、全体だと難しい」

 

「やってみなければ分からない」という推進力:変化を生み出す挑戦

今回の研修導入の「決め手」について、「これで安全意識が高まる、事故が減る」と感じたのはどのような部分か尋ねると、権田様の返答はシンプルでした。

「『やってみなきゃ分からない』という思いが強かったですね。最初から良いか悪いかを結論付けるべきではないし、やりもしないで結論を出してしまうのは良くない。まずはやってみて、その結果で判断する。そういうスタンスでした。アントニオ猪木が好きなので『迷わず行けよ、行けばわかるさ』ですね(笑)」

権田様は「とりあえずやってみる」という自身の信念と、これまでの経験から、「やってみて完全に無駄だったということはない」と断言します。「ただ、どういうアプローチだったら会社からOKが出るかということは考えました。私自身が研修に見出した価値を伝え、どう社内での承認を得て経営トップまで『よし、それならやろう!』と動かせるか。」

そして、その推進のポイントが、労働災害としての「交通安全」であったと権田様は語ります。

従来から経営陣も頭ごなしに否定することなく、挑戦を許容する文化があると言います。その道のりには様々な困難があっても、最終的には実を結ぶという経験が、権田様の「やってみる」姿勢を支えているようです。

 

ヒヤリハットの減少と燃費意識の高まり

研修を実際に実施してみてどうか? という問いに対し、権田様は具体的な変化を挙げました。

「最終的には、『ヒヤリハットが、ほぼほぼ社員から上がってこなくなっている』状況ですね。毎日100人近くが運転していますが、交通安全に関するヒヤリハットの報告が格段に少なくなりました」

さらに、具体的なエピソードとして、高橋様が聞いたという話を紹介してくれました。

「研修前と研修後の運転データを比較すると、明らかに運転が悪かった人の数値が大幅に改善されており、集計をまとめていて驚きました。ある社員からは『今までは高速に乗るとずっと右車線だった人が、研修を受けてから自然と左車線を走るようになった』という話を聞きました。その変化に、部長が『どうしたんだ?』と尋ねるほどだったそうです(笑)これはまさに効果ですよね。」

この変化は、社員一人ひとりが「口には出さないけれど、意識して運転している」証拠だと権田様は分析します。

「多くの人は口には出さないけれど、やってると思いますよ。かなり気にしていると感じますね。それに、燃料代も上がっているじゃないですか。」

高橋様も、「福田さんが教えてくれた時よりもさらに燃料が上がっているので、その辺を気にする人も絶対いると思うんです。口に出さなくても、燃費が良くなったという実感が得られたのは良かったのではないでしょうか」と、研修が個人の経済的なメリットにも繋がっていることを示唆しました。

 

SBTスコープ3、そして「ゼロ」へ:未来を見据えた脱炭素戦略

「研修後、初回と最終回の走行データや総合評価をグラフ化し、改善が見られたことを社員に示しました。燃費の具体的な数値化は、社有車ではなく個人所有の車が多いため難しかったものの、SBTのスコープ3(サプライチェーン排出量)削減にも目を向けています」

「通勤の燃費は申告制になっています。また、現場の重機についてもCO2削減に取り組んでいますが、正確な燃料消費量を把握するのが難しい現状があります。あくまで概算で動いた時間から排出量を算出している段階です。しかし、古郡建設がどの立ち位置にいるのか、実際にどれくらいの二酸化炭素を排出しているのかを知るために、みんなの協力を得て取り組んでいます」

古郡建設様は、2045年のカーボンニュートラル「ゼロ」達成を見据え、その準備を着々と進めています。自社で所有する太陽光発電所もその一環です。

「10年後にはFIT(固定価格買取制度)が終わりFIP(フィードインプレミアム)に移行しますが、環境価値もこちらで持つことになります。間違いなく発電量が多いので、当社の排出量をすべて発電所の環境価値で網羅できれば、『会社全体が排出量ゼロになる』可能性が高いんです。そうなれば、たとえCO2を出していても、その分を相殺できることになります」

「太陽光発電所は、廃止したり壊したりしない方がいい」と権田様は力強く語ります。10年後にどうするかという課題はあるものの、今ある発電所の価値を最大限に生かし、環境価値を売却することで、会社の経営にも貢献できると考えています。

「私たちの6MWの太陽光発電所は、年間約3,000トンものCO2削減に貢献している計算になります。これをなくしてしまえば、環境価値を買ってこなければなりません。環境価値を保持していれば、売電単価が下がっても、環境価値でカバーできる可能性もある。大きく見ると、そういう話なんです」

古郡建設様は、社員の安全意識向上だけでなく、環境負荷低減という企業の社会的責任も視野に入れ、今回の研修を全社的な取り組みの一環として捉えていることが伺えます。

 

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研修がもたらした「理解」と「行動」の変化

今回の運転研修が、社員のCO2排出への意識にどう影響したのか? の問いに対し、権田様は語ります。

「正直なところ、SBTについてピンとくるのは、経営陣と担当者くらいだと思います。しかし、『CO2を減らさなければいけない』という意識は、もう分からない人はいません。ただ、『2045年にゼロにする』という目標は分かっていても、そのやり方が分からない、あるいは本当にゼロにできるのか、と疑問に思う人もいるかもしれません」

今回の運転研修を通じて、社員は「自分が排出しているCO2もそこに関わっているんだ」ということを肌で感じたと言います。

「そうです。そういうのを全部ひっくるめての話ですよね。空ぶかしとか、エコではない運転をすると、どんどんCO2排出量が増えてしまいますし、事故でもCO2は増えてしまう。意外と多いのが、ハイブリッドや電気自動車に乗っているから関係ないと思っている人です。しかし、ハイブリッド車でも電気自動車でも発電時のCO2は出ていますし、事故の可能性もあるわけですからエコドライブはしないと。エコドライブ研修は、その意識付けの第一歩として非常に有効だと感じています」

古郡建設様の運転研修は、単なる安全運転技術の習得に留まらず、CO2排出量削減という企業の大きな目標と個人の運転行動を結びつけ、社員の意識と行動に具体的な変化をもたらしました。これは、SDGsを経営に取り入れる企業の先進的な取り組みとして、他の企業にとっても大いに参考になるのではないでしょうか。

 

「ただの研修ではない」社員から聞かれた喜びの声、個人の意識変革、そして社風へ確かな「成果」

研修の結果、最も変わった点について尋ねると、高橋様はこう語ります。

「結果を見ると、運転が悪かった人が、明らかに良くなったというのを、データ集計の際に見ることができました。私個人としてはすごく変わったなと思いますね。総合評価で順位が上がったことを自ら報告してくれる人もいて、『そんなに頑張ったんだね』と、社員同士で会話する機会が増えました」

権田様もまた、確かな変化を実感しています。

「私としては、最初から申し上げている通り、結果として『ヒヤリハットが少なくなった』ことです。そして、経営陣から交通安全に関する言葉が出てくるようになった。それが『社風』となれば良いな、という思いがあります。数値的な根拠は高橋が言う通り、みんな変わってきていますからね」

高橋様は、研修前から「これくらいの効果は出るだろう」と予測はしていたものの、実際にこれほどの変化があったことに満足している様子でした。

 

社員が「ためになった」と語る研修の秘密と「交通安全コンクール」への期待:身近なテーマだからこそ響く言葉

さらに高橋様は、今回の研修に対する社員からの好意的な声に言及します。

「福田さんの研修は、『ためになった』という意見をかなり聞きます。当社では様々な研修を実施していますが、他の研修では講師の話が良かったという声はほとんど聞かないのですが、福田さんのお話はためになったという声が多いんです」

「それは嬉しいですね。運転は誰にとっても身近なものですからね」と福田が応じると、権田様も「身近なんですよね。」と続きました。

「運転という誰もが日常的に行う身近なテーマですから。仕事で車を使う社員はもちろん、普段自家用車に乗る社員にとっても、直接自分に関わる内容であり、すぐに実践できることが多かったからではないでしょうか。38運動(埼玉県警が実施する歩行者保護を推進するプロジェクト)についても、福田さんが言ってくれたのは非常にわかりやすく響きました」と、自身のリクエストが、最終的に社員に浸透したことへの喜びも語られました。

そして、古郡建設様では毎年「交通安全コンクール」に参加しており、今年も50名体制で実施中とのこと。過去には毎年数名の違反者がいる状況だったと言います。

交通安全センターからの集計では、個人を特定することはできないものの、事業所全体の違反件数や違反内容が報告されます。お二人は、今回の研修が、違反件数の減少に繋がることを期待しています。

 

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まとめ:安全と環境への意識を未来へつなぐ

古郡建設様が今回の自動車運転研修を通して得たものは、単なる運転技術の向上に留まりません。社員一人ひとりの「安全意識の統一」、そして「CO2排出削減への具体的な行動変容」という、企業文化を進化させる大きな変化でした。

権田様の「とりあえずやってみる」という信念と、高橋様をはじめとする担当者の熱意が、社員の行動に前向きな変化をもたらし、経営陣をも動かしました。ヒヤリハットの減少につながる行動の変化は、研修が単なる座学で終わらず、社員の「身近なもの」として深く浸透した証拠です。

加えて、企業の喫緊の課題であるSDGs、特にCO2排出量削減への意識は、社員の通勤におけるエコドライブから、重機の排出量把握、そして自社太陽光発電所による環境価値創出まで、多角的に取り組まれています。今回の研修は、まさにこの全社的な取り組みの一環であり、「運転の安全」を通じて「全体の労働に対する安全意識」と「環境への意識」を醸成するという、極めて戦略的な意味合いを持っています。

古郡建設様のこの先進的な取り組みは、「運転は業務ではない」という旧来の意識に風穴を開け、安全と環境に対する意識を全社レベルで高めることに成功しました。

貴社でも「自社の課題に重なる」と感じたなら、ぜひ古郡建設様の事例を参考に、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。この研修が、貴社の未来を変えるきっかけとなるかもしれません。

 

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玄関前に安全第一、無事故無違反大作戦ののぼりが掲げられた本社社屋

 

エコドライブ・安全運転研修は、単なる運転技術の向上に留まらない、多角的な価値を企業にもたらすことが、今回のインタビューで明らかになりました。

 

社員の意識改革と行動変容:

運転データの可視化と個別フィードバックにより、社員一人ひとりの安全意識・環境意識が向上し、ヒヤリハットの激減や燃費向上といった具体的な成果に繋がります。

コスト削減への貢献:

燃費改善は、燃料費の高騰が続く現代において、企業の経済的な負担を軽減する直接的な効果をもたらします。

SDGsへのコミットメント強化:

CO2排出量削減という明確な目標に対し、社員の運転行動が貢献することで、企業のSDGsへの取り組みをより具体的に、説得力のあるものにします。

企業文化の醸成:

安全と環境への意識が、経営層から社員まで浸透し、企業の文化として根付くことで、持続可能な成長を支える強固な基盤が構築されます。

専門性の高い研修内容:

ハイブリッド車や電気自動車といった最新の車種にも対応した、車種特性を活かしたエコドライブの知識は、他の研修にはない独自の強みです。

 

「我が社でも、エコドライブや安全運転の意識を高めたい」「社員の運転行動を可視化し、具体的な改善に繋げたい」「SDGsへの取り組みを、より実効性のあるものにしたい」

 

もし貴社がこのような課題をお持ちであれば、ぜひエコドライブ研究所のエコドライブ・安全運転研修の導入をご検討ください。貴社の持続可能な企業成長に向けて全力でサポートさせていただきます。

 

 

■古郡建設株式会社 概要

創業 1914年
本社所在地 埼玉県深谷市稲荷町2丁目 10番6号
事業概要
  1. 総合建設業(土木工事・建築工事・舗装工事・設備工事)
  2. 住宅・リフォーム・リニューアル・建築事業
  3. 建設と不動産のトータル・プランニング及びコンサルティング
  4. 上記の事項に付帯する事業
従業員数
  1. 社員/118名(2024年6月現在)
  2. 現業職員/10名(2024年6月現在)
HP https://www.furugori.co.jp/

古郡ニュース:

エコドライブ研修を行いエコドライブ・アドバイザー証を取得しました。