最も感じたのは、職員のみんなが優秀なドライバーに変わったなということです。
それがすごいビックリしました。
「変わる人もいるだろうな」
くらいには思っていましたが、ほとんどの人が優良ドライバーになってしまったのが驚きました。
職員の方向けにエコドライブ研究所のエコドライブ安全運転研修を実施していただいた埼玉県環境科学国際センターの総務・学習・情報担当で研修の受け入れを担当された立花幹部長にお話を伺いました。
Q:研修を実施する前は、どういったことに悩み、どんな課題がありましたか?
A:私は当センターに着任して2年になりますが、最初の年から数件の物損事故があり、2年目には人身事故が発生してしまうなど、交通事故が続いていたので、それをどのように減らしていくかということが課題でした。
物損事故といっても一つ間違えば、、、という大きな事故で、車が修理もできない状態、つまり全損ということになってしまいました。
それは一時停止の必要な交差点で、停止が不十分な状態で交差点に入ってしまったために起きた事故でしたが、職員の運転していた車が横転して一回転してしまうほどの事故でした。
幸いなことにけが人はいなかったのですが、全損ですから軽い事故ではありませんでした。
元々、何かしらの交通事故対策をしなければと思ってはいました。その大きな物損事故があったときには職場内の意識啓発ということで、センター長による講話型の研修を実施ました。
交通事故にはこんな風に気をつけましょうとか、事故の恐ろしさを伝えたりとか、よくある職場内研修です。運転に対する意識をどう高めていくかとかという訓話をする様な形でした。
その後、一時的には事故が減ったかもしれませんが、効果という点ではそんなに高くはなかったのかなと思います。
結果として、私が2年目のときに人身事故が起きてしまいましたので。もう少し早いタイミングでもっと有効な研修ができていたら良かったなと、いま振り返ると思うところです。
2年目の人身事故が起きてしまった後には、ある程度お金はかけてもしっかりとした対策をしなければということで、効果のある研修をセンター長に相談しながら色々と検討し始めました。
Q:どのように研修を検討されたのですか?
A: 自動車教習所系の研修機関に聞いてみたり、企業研修を専門に行っている会社からも見積もりを取ったりました。他に損保会社関連の研修も調べました。
自動車教習所系のところは座学だけか、もしくは実際に教習所に行って教官が隣に座って安全運転講習を行うということで、かなり時間的なコストがかかる。
忙しい業務の中で職員全員に教習所に行ってくださいと、そこまではできない。それでこちらの希望する条件を満たしつつ、もっと効果のあるものを探していました。
Q:エコドライブ研究所を利用された決め手は何でしたか?
A:全員を教習所に行かせなくてもよいことと、計器で測定を繰り返しながら意識を高めて行けるところです。
元々、一度の研修で終わらせるということは考えていなくて、何回か繰り返す研修をどう効果的にやれるかという観点が一番重要かなと思っていました。
そこは福田さんが提案してくださった、計測器を使って運転レベルを測定して、その結果をフィードバックしながら研修を繰り返すというスパイラルアップ型の研修をご提案いただいたのが大きかった。
他の会社さんでも機器を使った提案はもらいましたが、繰り返し型の研修はやっていないらしく、講習会で話をして計測して1回転で終わりというものでした。
そうではなく、こちらの希望としては計測、研修を繰り返し行って意識を高め、意識を変えるだけではなく行動を変えていかなければいけない。
一回の研修だと意識は変わるかもしれないが行動が変わる前にすぐ忘れてしまうと考えていましたから、一回の研修で自分ごとに置き換えられず、すぐ元の状態に戻ってしまうというものではなく、行動として定着させる必要があるということでスパイラルアップという形の研修に魅力を感じましたし、そういったご提案を頂けてありがたかったですね。
Q:実際に研修を取り入れていただいた感想は?
A:最も感じたのは、職員のみんなが優秀なドライバーに変わったなということです。それがすごいビックリしました。
「変わる人もいるだろうな」くらいには思っていましたが、ほとんどの人が優良ドライバーになってしまったのが驚きました。
それと、意外なことに気づいたこともあります。
普段から接している感じだと、この人は安全運転してそうだなとか、大丈夫そうだなと思う人でも、実際の計測結果を見ると、普段の感じと運転とは違うんだなとか、車に乗ると意外と変わるんだな、ということに気づいたことです。
そういう人に個別に目をかけて指導していく必要があるということに気づいた点が大きかった。
運転計測を3回やって、1回目と2回目がすごく大きく変わった。
2回目と3回目はそこまで大きく変わりませんでしたが、それはいいことだったと思います。つまり、良い運転が定着したということでもあるので。
2回目から3回目でガクンと点数が落ちてしまうのではなくて、3回目まできちんとやって、その高いレベルの水準で維持できているようになったというのは、しっかりと良い運転を意識できているからだと思います。
Q:この研修を知り合い、関係者にすすめたいと思いますか?
A:それはもちろんです。
公務員だと異動が多いのですが、自動車の関わる業務があれば、またこの研修をやりたいと思いますし、他の所属でも自動車の管理、安全運転に課題を感じている人がいれば強くおすすめしたいと思います。
職場で起きた事故などを自分ごとに置き換えるということがかなり難しいことで、講話型の研修だとどうしても他人事感が出ちゃうんですよね。
自分は大丈夫だろう、と思ってしまいがちですが、このスパイラルアップ型の研修だと繰り返すことで他人事が少しずつ自分事に移行してきて、自分の運転をどうするかということに目が行くし、定着にもつながるというところが大きいと思います。
こちら側の話になるかもしれませんが、あえて課題を挙げるとすればある程度の期間が必要なこと。今回は急遽ということで年度末にやってしまい忙しくなってしまった。あらかじめ企画して十分な期間がとれればもっと良かったと思います。
2ヵ月、3ヵ月というもう少し長い期間でできれば良かったです。それと企業風土にもよるかもしれませんが、個人個人に具体的な目標を設定させて、みんなの前で宣言させるとか、一筆書かせるということがあっても良かったと思います。そうすると、お前言ったよな、みたいなこともあり、より行動につながるのではないかと思いました。
それと行動を定着させるという意味では今回の研修は効果があったと思います。
意識を持っているだけでなく自分の行動を変えて定着させていくというプロセスを研修の中に取り入れてやっていただいたのは大きい。
意識はすぐ忘れてしまっても、行動は定着すると忘れない、とは言いつつも時間の経過とともに薄れていくこともあると思いますので、半年なり1年ごとなりに行動の定着具合を確認していくのは大切だと思います。
行動が一度定着すれば、それを確認するだけなら、そんなに時間的なコストはかからないと思いますので、そういった一定期間経過後の運転計測などアフターフォローも含めた一連のものもあるといいですね。
Q:一ドライバーとして研修を受けた後に意識していることはありますか?
A:燃費はずっと意識しています。車のモニター表示がカスタマイズできるのですが、以前はスピードメーターを大きく表示させていました。それをいまは燃費が表示されるように設定しています。
Q:研修を受けてご自身で変わったことは?
A:先を見る運転をするようになりました。先の信号が赤だったらアクセル踏まないとか、福田さんが言っていたように、なるべく止まらないとか、そういった運転を楽しめるようになりましたね。以前から安全運転は意識していましたが、家族を乗せる時はより意識するようになりました。それと、研修の中で色々な人の意見を聞いて、そういうところに気をつけて走るのいいなって勉強になりました。
Q:研修実施担当者として研修全体を通してのコメントをお願いします
A:研修をやって良かったというのが一番思うところです。
事故が多くなってしまっていて、それをどう変えていくかという課題に対して最適な研修ができました。
一人ひとりが自分のこととして、交通事故のことを考えてくれたのが成果としては一番大きいです。
番外編(インタビュー後談)
一度事故が起こると本当に処理が大変なんですよね。業務中の事故だと保険会社との調整ですとか、車を資産として管理しているところですとか、人事との調整とか。
交通事故は本当に減ってほしい。どこでも一定規模の組織だとちょこちょこは起こると思いますが、事故さえ無ければ本来の仕事に集中できますし。
逆に事故が起きるとそのせいで通常業務が滞ってしまったりとか、マイナスしかない仕事だからやりたくないですよね。
ぶつけた本人は、「ちょっとぶつけちゃいました」くらいにしか思ってないことが多いですが、事故処理をする担当者の気持ちも考えてもらいたいですね。。。
立花部長の切実な声が聞けました。